CASE STUDY

地域の「美味しい」が集結!生産者と消費者をつなぐ「道の駅」の今

サステナブル地産地消

一般道路沿いにある休憩所として利用される「道の駅」の役割は、時代と共に進化しています。近年人気の道の駅には、ご当地グルメを味わえるレストランや特産物の直売所に加え、果物狩りをはじめとするアクティビティの案内所や温浴施設が併設しているケースも増加中。

国土交通省は2020年~2025年を「『道の駅』第3ステージ」と位置づけ、「地方創生・観光を加速する拠点へ」等をコンセプトに掲げ、官民連携での活性化に取り組んでいます。
参考:国土交通省「『道の駅』 第3ステージ」(令和元年11月18日)
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/shin-michi-no-eki/pdf07/03.pdf

今回は、キャンピングカーで車中泊をしながら全国の道の駅を訪れているライターの浅井佑一さんへお話を伺い、最近の道の駅に見られるトレンドや、地域の1次産業・6次産業へ与える影響についてご紹介いただきました。

浅井佑一(あさい ゆういち)さん
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」の編集部を経て、現在はキャンピングカーと旅をテーマに執筆を行うフリーライター。2014年3月よりキャンピングカーで車中泊しながら、2年3ヵ月かけて、道の駅を全国制覇(1059ヵ所)。その後も新たにオープンした道の駅巡りを続け、2023年4月現在で1194か所の道の駅を訪れている。
http://www.rvtravel.jp/

地域の特産品と旬が色濃くでる「道の駅」グルメ

― 浅井さんは、キャンピングカーに車中泊しながら全国の道の駅を回っていたとお聞きしました。

2014年からキャンピングカーで道の駅を回り始めたのですが、このとき自分の中で2つルールを設けました。ひとつは道の駅で車中泊をすること、もうひとつは道の駅で食事をとることです。道の駅にレストランがあれば利用し、なければ産直市場で野菜を調達してキャンピングカーで調理していました。

元々キャンピングカー雑誌の編集部にいたのですが、かつては「ご当地グルメを買うなら地元スーパーへ行くべし」と言われていました。ただ、最近は全国展開する大手スーパーの参入が増えたことで取扱商品が画一化され、地元スーパーでも他県の生鮮食品が多く扱われています。

その地域で暮らしている方にとっては、全国から食材が安定供給されることは非常に助かるのですが、旅行で訪れている我々は、地域ならではの旬の食材を味わいたい。道の駅はそのニーズに応え、地元の旬の食材を積極的に取り扱うことができる場なんだと思います。

― 道の駅を訪れると「今この地域では何が旬なのか」が一目でわかりますね。

道の駅では、朝採れかつ完熟状態の野菜・果物を地元農家の方たちが直接持ってきて納めているので、とにかく新鮮です。また、魚介類も新鮮かつ配送コストを抑えられるため、その分安く販売できます。このような理由もあって、道の駅は自然と「地域の魅力や旬を発信する場所」となったように思います。

特産品が旬を迎えているタイミングで道の駅を訪れると、例えば朝摘みのイチゴを求めて朝から長蛇の列ができていたり、葉付トウモロコシを袋いっぱいに詰めて持った方があちこちにいたりと、活気のある様子が伺えます。旅行者へ特産品のPRができるのはもちろん、地元の人にも地域の魅力を再発見してもらえるきっかけになりますよね。

― 今、ここでしか買えない!と思うと、つい手が伸びますね。

私も含めて多くの旅行者は、道の駅へ地域ならではの美味しいものや旬のもの、ここでしか買えない珍しいものを求めて訪れます。ですので、活気がある道の駅では思わず何か食べてしまうし、予定よりもたくさんお土産を買ってしまいます。

地域の方は地元の特産品を「近所の人からもらうもの」と長年認識していることもあって、そのすばらしい価値に気づいていないこともあるようです。「そんな当たり前のものが、今さらお土産として売れるんですかね?」と疑問に思われることもあると。ですが、特産品は売り方を工夫したり、加工品は調理法やパッケージにこだわったりすることで、道の駅発の新たなヒットアイテムとなるケースも増えています。

その土地ならではの「グルメ・温浴施設・エンタメ」が人を呼ぶ

― 活気のある道の駅は、グルメ以外も充実している印象があります。

そうですね。近年人を集めている道の駅には「グルメ・温浴施設・エンタメ」この三本柱が備わっています。

今、道の駅は日本全国で1,204施設あるのですが(2023年4月現在)、そのうち約150、つまりは1割以上の道の駅に温浴施設が併設されています。元々温泉施設だったところがリニューアルして道の駅になったケースもありますし、車中泊やキャンピングカーの人気が高まってきているので、その影響があるのかもしれません。

エンタメについては果物狩りをはじめ、塩づくりや砂金取り体験、ジップラインやアスレチック、乗馬など、地域の魅力を活かしたさまざまなアクティビティが道の駅で楽しめるようになっています。

観光業界は今、景気のいい話が少ないのですが、道の駅界隈には比較的明るいトピックが多いのではないでしょうか。

道の駅で「地域の旬」を丸ごと味わおう!

― では、浅井さんが注目している地域の旬が味わえる道の駅を教えてください。

◆道の駅寒河江 チェリーランドさがえ(山形県寒河江市)

(写真提供:浅井佑一さん)

山形県寒河江市にある「道の駅寒河江 チェリーランドさがえ」は、さくらんぼをテーマにした東北最大級の道の駅。山形県のほぼ中央に位置し、東に蔵王、西には月山、葉山の山々を一望できます。

寒河江では、いちご、さくらんぼ、ブルーベリー、もも、ぶどう、柿、りんごと、一年中果物狩りが楽しめます。Webサイトから予約ができ、道の駅を拠点にして各農園まで案内してもらえるのが非常に便利です。

また、「チェリーランドさがえ」では完熟のラ・フランスを安く買うことができました。通常は流通過程で傷まないよう自分で追熟させる、食べごろの見極めが難しい果物です。生産者さんおすすめのタイミングで味わえるラ・フランスはスプーンですくうとトロトロで、「ラ・フランスってこんなに美味しいのか!」と新たな発見がありました。

・道の駅寒河江 チェリーランドさがえ 公式サイト
http://www.cherryland.co.jp/
・くだもの狩り予約サイト まるかじりさがえ
https://sakuranbo.info/sagae/

ドレッシングやソフトクリームなどの加工品は根強い人気

― 次は、浅井さんおすすめの加工品が味わえる道の駅を教えてください。

◆道の駅もてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)

(写真提供:浅井佑一さん)

ファミリーで一日過ごせる「道の駅もてぎ」。子どもが伸び伸びと遊べる公園では四季折々の花が楽しめるほか、場内ではSLが走っています。

茂木は葉タバコの生産が盛んだったのですが、今はゆずの生産に力をいれている地域です。ここの「ゆず塩ら~めん」は、道の駅グルメNo.1を決めるイベント「道-1グランプリ」で3連覇を達成し、見事殿堂入りしたほど。今も休日に行くとラーメン店は長蛇の列ですが、道の駅もてぎ限定のおみやげ版が購入可能です。

(写真提供:浅井佑一さん)

また、ゆずの加工品がとても充実しているのですが、ポン酢やドレッシングに使っているゆず果汁は、皮の苦味が入らないよう地元の方が丁寧に手搾りしているというこだわりぶりです。

・道の駅もてぎ 公式サイト
http://www.motegiplaza.com/

◆道の駅お茶の京都みなみやましろ村(京都府相楽郡南山城村)

(写真提供:浅井佑一さん)

京都でたったひとつの村、南山城村にある「道の駅お茶の京都みなみやましろ村」。三重・奈良・滋賀の三県に隣接し、この地で暮らす村人がつくりだしてきた「むらのもん」を道の駅で発表しています。

茶畑に囲まれた道の駅のイチオシは、もちろん「抹茶グルメ」。加工品用のお茶ではなく、抹茶として飲めるレベルの上質な茶葉を使ったパウンドケーキやソフトクリーム、プリンがとても好評です。

(写真提供:浅井佑一さん)

隣接して外資系ホテルグループが運営する素泊まり専用ホテルがあるので、道の駅を旅のハブとして利用し、翌日は三重・奈良・滋賀へ足を伸ばすこともできます。

・道の駅お茶の京都みなみやましろ村 公式サイト
https://michinoeki.kyoto.jp/

一日中楽しめる!今や「道の駅」自体が旅の目的地に

― 今後、道の駅はどのように進化していくとお考えですか?
近年オープンしている道の駅の特徴としては、より大型化の傾向が見られる他、地域活性化が加速している印象があります。地元で人気の飲食店が多数出店し、大きな産直市場や収穫体験施設、BBQスペースやアスレチックにドッグラン、そして温浴施設が併設されるなど、道の駅の巨大テーマパーク化が進んでいます。営業時間についても、これまでは夕方で閉店していた道の駅が多かったですが、最近は21時まで営業しているなどと、より利用者のニーズに寄り添っている印象があります。

大型化の理由のひとつとして考えられるのが、道の駅が持つ集客力の高さです。例えば、地産地消のレストランや自然体験型の観光施設を作った場合、地元の方や近隣県の方を集客することはできますが、それ以上にターゲットが広がらないことがあります。しかし、道の駅であれば、全国で1,204カ所ある道の駅のひとつとなります。すると、全国の道の駅ファンが興味を持ち、「○○市に新しい道の駅が出来たんだ、じゃあ次の連休に行ってみようかな」といった具合に、道の駅であることで旅先候補へ加えてもらえるのです。

道の駅であるということ自体がひとつのブランドとなり、広報が比較的容易になります。自治体が観光施設を計画する際、この「道の駅がもつ集客力の高さ」へ大きな期待を寄せているように感じています。

― 地域活性化についてはいかがですか。
道の駅へ立ち寄ったことがきっかけで、地元の特産品や加工品を知ってもらうことができますよね。すると、「あの抹茶ソフトがもう一度食べたいな」「次はブドウが旬の時に行こう」といった、リピーターを増やす大きな仕掛けになります。

国は農林漁業者の6次産業化を推し進めてはいるものの、個人の農家さんや漁師さんが加工品の販売やレストランの運営、ましてや広報活動までを行うのは大変です。しかし道の駅には農畜産物・水産物の直売所から加工品を販売するところまでがワンストップで揃います。作り手と使い手の距離が近いため、生産者が消費者ニーズや売れ筋のトレンドを肌で感じることができます。

また、道の駅は休日だけ遠方から人が集まっても経営が成り立たず、平日は近隣の方に利用してもらうことが重要です。近年は加工場を併設した道の駅も増えているので、平日は地域へ開放して料理教室を開催するなどで地元の方に足を運んでもらうきっかけを作り、そして産直市場をスーパー代わりに利用してもらうなど、地域の魅力を再発見してもらう活動をしている道の駅もあるようです。

都会からの移住者が増えているエリアでは、新しい視点を取り入れた商品開発を行っているケースも見られます。地元の特産品を使ったカフェスイーツやカレーを道の駅で提供することで、若い世代も興味を持ってくれるでしょう。地域の魅力を掘り起こす実験的な動きがあると1次産業や6次産業にも新たな広がりが生まれ、道の駅はますます面白くなるのではないでしょうか。

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地域の個性、そしてその土地ならではの美味しいものや旬のものを丸ごと楽しめる道の駅。ふと立ち寄った偶然の出会いから、特産品や地域のファンとなり、リピーターになることがあるかもしれません。お出かけ先選びに迷ったら、浅井さんおすすめの道の駅を目的地として、旅行の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

ヤンマーマルシェの「ライスジュレ」を使ったシフォンケーキやフィナンシェも道の駅でもお取り扱いいただいています。下記店舗で取り扱っておりますので、見かけた方は是非ご利用くださいね。

発酵の里こうざき
https://www.hakkounosato.com/

ぽけっとファームどきどき つくば牛久店
https://www.zennoh.or.jp/ib/dokidoki2/