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トマトの旬は夏じゃない!?年中楽しめるトマトと自分好みの品種の見つけ方

2022年04月06日

一年を通じてスーパーで手に入れることができるトマト。夏野菜のイメージが強く、「涼しい季節のトマトって、味がイマイチなのでは…?」といった印象をお持ちの方がいるかもしれません。しかし、実際は夏の高温多湿な環境が苦手な野菜でもあるのです!今回は、トマトの旬や美味しいトマトの見分け方、そして味やサイズのバリエーションが増えているトマトの中から「自分好みの味」を見つけるヒントについてご紹介します。

夏の暑さに弱いトマト、味の旬は春~初夏と秋

南米のアンデス山脈地方を原産地とするトマトは、昼夜の寒暖差や日差しの強さ、そして乾燥によって美味しく育ちます。このことから、トマトが美味しくなる“味の旬”は春~初夏とされていて、冷涼で湿度が低い北海道・東北や関東地方 では、夏から秋にかけても美味しいトマトが収穫されます。

東京都中央卸売市場の市場統計情報を見ても、4月から58 月にかけてトマトの取扱量が増えていることがわかります。

出典 :東京都中央卸売市場「市場統計情報/品目別取扱実績取扱実績(令和3年度)」を参考に作成

前述した通り、トマトは高温多湿が苦手で、栽培に適しているのは昼間の温度が20~25℃くらいだと言われています。秋から春にかけては熊本県など温かい地域で栽培され、夏場には北海道や東北などで育てられています。その土地の気候を活かして、産地をバトンタッチしているのですね。こうしたことから「トマトは1年中美味しく食べられる」というのがおわかりいただけたのではないでしょうか。

私たちがスーパーで手に入れることができるトマトの殆どはハウス栽培です。
太陽をたっぷり浴びることができる乾燥気味の環境でゆっくり育ててから収穫する ことで、トマトの糖度や栄養価は高くなるのです。

栽培方法の工夫で誕生した「高糖度トマト」

トマトの味は甘み・酸味・旨みのバランス で決まりますが、特に甘み、つまり糖度が高いと美味しさを感じやすくなります。ここ数年、日本ではフルーツのような甘さを感じる高糖度トマトが大人気。スーパーのトマト売り場でも糖度の記載が増えていますが、高糖度という付加価値のついたトマト が現在の売れ筋であるため、多くの生産者さんが高糖度トマト栽培へ取り組まれています。

トマトを甘く育てるためには、一日の寒暖差がある季節に、生育に時間をかけながら、たっぷり太陽の光を浴びさせることが重要です。さらには、水の与え方(潅水=かんすい)を通常よりも減らして小ぶりに育てることで、甘みがぎゅっと濃縮され、糖度の高いトマトができるのです。

フルーツトマトや塩トマトって、どんなトマト?

高糖度トマトの中でも最近注目されているのが、「フルーツトマト」や「塩トマト」と呼ばれるもの。これらは特定の品種やブランドではなく、特別な栽培方法で育てられたトマトを指しています。

■フルーツトマト
「桃太郎トマト」という大玉の品種を潅水制限で小ぶりに育て、甘みや旨みを凝縮させたトマトの名称。正確な基準は設けられていませんが、糖度が8度以上あるトマトを指すことが一般的です。

■塩トマト
熊本県内の土壌塩分濃度が高い干拓地などで栽培される小ぶりなトマト。塩のイメージとは反対に、甘みと旨みが濃縮されています。冬から春までしか出回らず、産地が限られている希少性から、市場では高値で取引されています。

ヤンマーマルシェでも取り扱いのある「井出さんのトマト」も、熊本市内の有明海に面した海路⼝町(ウジグチマチ)で栽培。あえて水をやらず、天然のミネラルを豊富に含んだ地下水を吸収しようと、トマト自身が懸命に根を張るチカラを活かすことで、旨みのギュっと詰まったトマトが育つのだそうです。

また宮城県岩沼市 でも、東日本大震災の津波によって浸水した塩害農地を活用した塩トマト栽培が盛んです。

美味しいトマトを見分けるヒントと保存方法

店頭にたくさん並ぶトマトの中から美味しいものを選ぶには、以下のポイントを確認しましょう。適切に保存することで、美味しさを長く保つことができます。

■選ぶポイント
【全体】色が均一である
【皮】ハリとツヤがある
【ヘタ】濃い緑色でピンとハリがある
【お尻】白いスターマーク(放射線状のライン)が出ている
【重さ】持ってずっしりと重さを感じる

■保存方法
・熟しきっていないトマトは、常温で2~3日追熟させる。
・熟したトマトは1個ずつキッチンペーパーに包み、ヘタを下にして保存用ポリ袋に入れて野菜室へ。

サイズ・食感もさまざま!注目の品種やブランドをご紹介

既にご紹介した通り、高糖度トマトは大玉トマトを一回り以上小さく 育てて甘みを凝縮させていることが一般的。甘さとサイズは反比例することが多く、甘みが欲しいときはミニトマトや中玉トマトを、しっかりした食べ応えが欲しいときは大玉トマトを選ぶのがおすすめです。

それでは、スーパーでよく見る品種や、ヤンマーマルシェで取り扱いのあるブランドをご紹介します。

■小玉(ミニトマト・プチトマト・マイクロトマト) [40g以下]
・アイコ
果実は「ロケットミニ」とも称される細長い卵形。丸玉とは異なる食感が楽しめます。果肉は厚く、ゼリーは少なめ。糖度が高く酸味は少なめです。

・ストロベリートマト
品種名はサンストリーム。果肉が少ないイチゴ(プラム)形のトマトです。酸味は少なく、甘みすっきり。ヤンマーマルシェでも井手さんのいちごに恋する夢とま!® として取り扱いがあります。

■中玉(ミディトマト) [40~150g]
・フルティカ
フルーツのように甘いトマト。果肉は滑らかで弾力性があり、満足感たっぷり。薄めの皮は口に残りにくく、ゼリーの飛び出しも少なくて食べやすいことから人気の品種です。

・カンパリ
オランダ・エンザ社を代表する中玉完熟トマト(旧品種名ファン・ゴッホ)。本場ヨーロッパのトマトコンテストNo.1の実績があり、甘味・酸味・こく・香りのバランスが取れています。ヤンマーマルシェでは井手さんの塩とま!®井手さんの赤丸上々®として取り扱いがあります。

■大玉 [150g~]
・桃太郎トマト
現在市場に出回っている大玉トマトの多くが桃太郎トマトです。甘味たっぷりで程よい酸味もあり、桃太郎系と呼ばれる品種も20種以上登場しています。ふっくら丸い形で果肉がしっかりあり、完熟後に収穫しても輸送に耐えられるため、現在の主流品種となりました。

・ファーストトマト
桃太郎トマト以前に広く流通していた大玉トマト。ハート型のような尖ったお尻が特徴的で、皮は薄く果肉が透けて見えるほど。甘みと酸味のバランスが良く、しっかりした果肉が味わえます。トマトらしい香りが楽しめることから「昔ながらのトマト」として人気。

自分好みのトマトを探してみよう!

美味しいと感じるポイントは人それぞれ。甘みたっぷりが好みなのか、少し酸味が欲しいのか、または食べ応えのある肉厚なものが好きかなど、さまざまな品種を食べて「自分好みのトマト」の特徴を観察してみましょう。

産地や収穫時期はもちろん、栽培方法でトマトの味は大きく変化します。産地を変えてみたり、同じ生産者さんのトマトを冬と初夏で食べ比べてみたりするのもオススメ。通販サイトを使えば一年を通じて日本全国のトマトを手に入れることができるので、自分好みの産地やブランド、そして季節を探してみてくださいね。