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おうち時間の楽しみ方として、ここ数年で人気が高まっている家庭菜園。マンションでも気軽に始められ、育てながら食べる楽しみも一緒に得られるベランダ菜園に挑戦する方が増えています。毎朝植物に水をやるというモーニングルーティンは生活リズムを整えるのにピッタリですし、野菜の成長を観察して一喜一憂するのも新鮮な体験です。
今回は、家庭菜園に初めてチャレンジするヤンマーマルシェマガジン編集部Kが、ヤンマーマルシェで生産支援サービスに携わる “やさい先生”にヒントをもらいながら、ベランダ菜園づくりに奮闘する様子をレポートします。
やさい先生
ヤンマーマルシェが提供する「生産支援サービス」において、生産者向け栽培サポートをしている農業のプロフェッショナル。
ベランダ菜園を始める前にチェックすべきこと
編集部K
部屋はマンションの9階にあって、南向きのベランダには高く頑丈な壁があります。こういう環境でもベランダ菜園って可能なのでしょうか。
やさい先生
半日陰状態のベランダであれば、日陰を好む植物を植えてあげましょう。小松菜は通年、春と秋はほうれん草やレタス、夏はバジル、冬は春菊やネギ、カブなどがおすすめです。反対に日当たりが良いベランダでは、夏はミニトマト、ピーマン、ナス、キュウリ、秋以降は大根などが向いています。
また、プランターは風通しの良い場所に置きましょう。一日中土が湿ったままでは、暑い季節は根腐れの原因にもなります。
Kさんのマンションで言うと、格子の前は、日当たりは良いのですが風が強すぎますし、エアコンの室外機が近くにあるので乾燥しすぎてしまいます。総合的に考えると、避難経路を邪魔しない、壁沿いのあたりが一番いいかと思います。
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避難経路・室外機の前や横は避けましょう
編集部K
わかりました。ではここで小松菜、ラディッシュ、ベビーリーフ、バジルを育ててみることにします。他に気を付けておくことはありますか?
やさい先生
ベランダはマンションの共有部分であることが殆どですので、マンションの規約やルールを確認し、その範囲内で行うようにしましょう。緊急時の避難経路でもあるので、プランター類で避難はしごや防災扉を塞がないようレイアウトすることも重要です。そして、プランターから溢れた水が排水溝に流れているか、土や落ち葉が詰まっていないかを時々見るようにしてください。
ベランダ菜園を始めるときに必要なアイテム
編集部
土とプランターは重くて大きいので、ネット通販で購入する予定です。(スマートフォンで「家庭菜園 土」を検索しながら)土っていろいろ種類がありますね…。価格帯もさまざまなのですが、初心者はどのような基準で選べば良いでしょうか。
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初心者には「培養土」がおすすめ
やさい先生
トマト、きゅうり、ナス、オクラといった実のなる野菜を「果菜」と呼ぶのですが、果菜は窒素が多い土に植えてあげると実がしっかり太ります。対して、小松菜、バジル、ラディッシュのような葉もの、いわゆる「葉菜」は、それほど窒素がなくてもスクスクと育ちます。
良い土とは排水性、通気性、保肥性のバランスが良いものになります。家庭菜園初心者であれば、野菜や花など特定の植物向けに土や肥料が配合された「培養土」を選ぶのがおすすめです。
培養土に有効期限はありませんが、揮発性があるものや酸化しやすい尿素系やアミノ酸系などの肥料などは、時間が経つにつれ分解される可能性があります。1年程度は問題ありませんが、数年経ったものは肥料の効き目が少し弱まっているかもしれません。ただし、家庭菜園には十分使えるでしょう。培養土が準備出来るのであれば、追加の液体肥料などは特に必要ありません。
編集部
わかりました!プランターやポットは何を基準に選ぶのが良いでしょうか。
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やさい先生
種or苗だからプランターorポットが良い、という決まりはありません。ベランダの広さを考えて選んで大丈夫です。
もし、室内のキッチンで育てて時々収穫したいということでしたら、直径10~12センチのポットがあれば、バジルやベビーリーフ栽培などは楽しめます。2リットルのペットボトルの底に穴を開けて、ポットの代わりにしている方もいらっしゃいます。
ただ、大きくしっかりとした野菜を育てたい場合は、日光がきちんと当たる場所で育てるのが良いですね。
編集部
他に、種や苗以外で買っておいた方がいいものってありますか?
やさい先生
家庭菜園初心者の方はつい水をたっぷりあげすぎてしまうので、梅雨の季節は土がジメジメした状態が続き、カビが生えてしまうことも。排水しやすいよう培養土の下に小石を敷き、風通しが良くなるようプランターはレンガや棚で底上げしてあげると良いでしょう。
水やりのヒント
編集部
かつて観葉植物を育てていたとき、水が少なかったのか、反対にやり過ぎていたのか、半年で枯らしてしまいました…。ベランダ菜園における水やりのヒントが知りたいです。
やさい先生
野菜の水やりの基本は、毎朝早い時間にたっぷりと与えることです。「たっぷり」の目安は鉢やプランターの下から水が少し出てくる程度。もし雨や曇りの日が続くようであれば、鉢を持ってみて、どっしりした水の重みを感じることができたら1~2日はお休みしても良いでしょう。または、指を第二関節くらいまで差し込んでみて、土が湿っていたら水を与えなくて大丈夫です。
編集部
朝に水を与えても、季節によっては土がすぐ干上がってしまいそうです。お昼や夕方にも水を与えた方がいいですか?
やさい先生
水を与える時間帯も重要で、基本的には朝の涼しい時間だけにしましょう。野菜に元気がないからといって、日中の暑い時間、特に夏の午後2時などは水が温まってしまいますので水やりは控えてください。また、夜に水を与えるとモヤシのように茎ばかりが育ったり、少しの暑さででも萎れやすくなったりする癖がつくので、注意が必要です。
種まき&苗の植え付けにチャレンジ!
【7月4日】培養土とプランター類はネット通販で注文し、小松菜、ラディッシュ、ベビーリーフの種、バジルの苗はホームセンターで購入しました。
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まずは不織布のポット型プランター、排水すのこ付横長プランターへ培養土を入れます。次に種の入った袋の裏面をチェックし、3種ともスジまき(指でスジを引いて、線に沿って種をまく)が推奨されていることを確認。土の上に線を引いてパラパラと種をまき、薄く土を被せて軽く押さえました。
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バジルは苗が入っていたポットより少し大きめの穴を掘り、取り出して植え、株元に土を寄せて軽く押さえました。
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ベランダに並べてたっぷり水を与え、芽が出る時を待ちます。
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種まきから約10日で子葉がグングン成長!
【7月6日】種まきから2日後の朝、プランターを確認すると元気に発芽していました!
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【7月6日】19時頃確認すると、更に成長しています。嬉しい…。
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【7月13日】小松菜、ラディッシュ、ベビーリーフの子葉がしっかりと開いてきて、プランターが少し込み合ってきました。
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初めての間引き作業に四苦八苦…
【7月15日】苗から植えたバジルも15cmほどに伸び、葉もモリモリ茂ってきたので、そろそろ間引くタイミングでしょう。
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曲がっている茎や細い茎を選び、ハサミを使い地面と同じ高さでカット。元気な葉の付いている4本を残しました。間引いたバジルはパスタやパンへ乗せて美味しく頂きました。
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種から育てた小松菜、ラディッシュ、ベビーリーフもかなり込み合ってきたので、思い切って間引くことにします。
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バジルと同じく曲がっているものや元気のない子葉を選び、手で抜けそうなものはそのまま抜き、抜くと隣に影響してしまいそうな場合はハサミでカット。1~2センチくらいの間隔を取るようにしました。元気な子葉が隣り合って育っていると「共に大きく育ててあげたい!でもどちらかは抜かないと…」と、迷いながらの作業に。
残す子葉を選ぶ、伸びて交差している茎を元に戻す、抜いて盛り上がった土を押さえるなどの作業をしていると、慣れていないこともあって30分以上時間が経過していました。間引く作業は時間、そして心の余裕があるときに行うのが良さそうです。
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間引く際は子葉が小さすぎて、土を落とす作業にかなり時間がかかってしまいましたが、 スッキリしたプランターを見ると気分も爽快!そして抜いた子葉は洗ってスプラウトサラダに。片手ほどの量ではあるのですが、早くも自分が育てた野菜を食べているという喜びを味わえました!
初めての収穫を終えて
初心者であっても、コツさえ守ればしっかり芽を出してくれたことに感動。収穫してすぐ食べる野菜はとても新鮮ですし、自分が育てたと思うと美味しさがグッと増すように感じます。ベランダ菜園、これは…ハマりそうです!
(後編へ続く)