TIPS

人と自然にやさしい海藻有機肥料使用。鳥取県日南町産のコシヒカリ「ヤンマーこだわりのお米」誕生!

生産支援

毎日食べるお米には、おいしさはもちろん、人や自然へのやさしさを求めたいもの。この、「おいしくて安心・安全なお米を、もっと多くの人に食べてもらいたい!」というプレミアムマルシェの想いが実を結び、2018年の秋から「ヤンマーこだわりのお米」を販売することになりました。今回ご縁があって「ヤンマーこだわりのお米」の栽培をお願いすることになったのは、鳥取県日南町で環境にやさしい循環型農業を行うエコファームHOSOYA。「どのような環境で育てば、こんなおいしいお米になるの?」この答えが知りたいと、黄金色の稲穂が輝く9月初旬の日南町を訪ねました。

立地を活かした寒暖差と、豊かな水源に恵まれた日南町

西は島根、南は岡山、南西部は広島の3県に接し、1,000m級の山並みに囲まれた鳥取県日南町。エコファームHOSOYAのある細屋地区は標高500mほどの高さにあるため、日中は気温が上昇するものの、夜は一気に冷え込みます。

高い標高が作りだす寒暖差によって、お米はどんどんおいしくなります。これは、植物は日中に光合成をしてデンプンを作り、できた栄養を涼しい夜のうちにお米へしっかり蓄えることができるから。幼い頃の理科の授業で「植物は光合成で作ったデンプンを養分にして育つ」と習ったとおり、夜間の気温が高いと植物がデンプンを養分として消費してしまい、炊きあがったご飯のモチモチ食感や甘みが失われてしまうのです。

また、日南町には鳥取県の一級河川・日野川の支流の源流が注がれ、水田を豊かに潤しています。山のめぐみである清澄な雪解け水や、ミネラル豊富で冷たい水がたっぷり使えるのも、おいしいお米の成長には欠かせない条件なのです。

海藻有機肥料使用で、人と自然にやさしい土づくりを目指して

エコファームHOSOYAでは、農薬や化学肥料の使用をできるかぎり減らした特別栽培を行い、人と自然にやさしい米作りを行っています。銘柄はコシヒカリが中心で、肥料には 基本的に“人間が食べているもの”を採用。境港の中海(なかうみ)で採れた海藻を乾燥し魚粕、米ぬか、大豆粕、油粕など混ぜ合わせ、ペレット状に加工した独自の海藻有機肥料を使用しています。

日本海の海水と湖の淡水が交じり合った汽水湖(きすいこ)の中海で育つアマモは、江戸時代以前から肥料などとして使われていました。しかし、高度経済成長期に化学肥料を使った農業が推進され、肥料としての需要が減るとともに、アマモの採取量も減少。その結果、中海の海藻が増えすぎて腐食が進み、湖がすっかり汚れてしまったのです。そこで、中海の環境改善に取り組みながら、昔ながらの有機肥料に戻すことで「安心・安全」なお米を栽培でき、かつ「この地域ならではのオリジナリティ」を出せることから、エコファームHOSOYAでは2006年(平成18年)より海藻有機肥料を使い始めたのだそう。

乾燥した海藻

「海藻有機肥料には、ミネラルなど身体にいい栄養分が豊富でお米に甘みが出ますし、他の農作物に使ってもおいしくなるんです」と話すのは、エコファームHOSOYAの代表、三上惇二さん。

おいしいお米に変えるだけで、飲食店はもっと繁盛する!

名だたる米の品評会での受賞歴を持ち、“米職人”としても知られる三上さん。生まれも育ちも日南町で、この地でずっと米づくりに携わってきたのだそう。

「日南町の中でも特に細屋地区は、コシヒカリ栽培に最適な場所なんです。寒暖差や水質のよさはもちろん、土地が開けているから一日中太陽が当たって稲がよく育ちますし、風通しがいいので虫がつきにくい。とにかく、自然の条件がとてもよいんですよ。

みなさんは、お米を買う際に『○○県の特A地域産だから』という理由で選ぶことが多いのではないでしょうか。ですが、県や地域名で選んでも味にバラツキがあり、残念ながらおいしいお米に当たるかはわかりません。本当においしいご飯を食べたいならば「どこで、誰が、どんな作り方で、どんな特徴を持った」お米なのか、生産者や銘柄が確かなお米を選ぶのがよいと思います。

「実は、この春(2018年)にうちのコシヒカリに変えた飲食店が、『ご飯が前よりおいしくなった』と地域で評判になり、夏にお客さんの数が従来の2倍になったと教えてもらいました。店側が『米を変えた』とアピールせずとも、舌の肥えたお客さんは確実に増えているので、口コミで広がったみたいです。外食産業は“○○産ビーフ使用”とメイン素材の産地にこだわりがちですが、もっとお米の質にも気を配ったほうがいいと思うんです」と話す三上さん。

三上さんの育てたコシヒカリは、ヤンマー本社最上階にある社員食堂「Premium Marché OSAKA」をはじめ、セレッソ大阪の選手寮などへも提供。更には、大阪の超一流ホテルへお米と一緒に水も届けたり、京都祇園の有名な米屋へ卸したりと、舌の肥えた方たちにも広く支持されています。

おいしいご飯を炊くには、炊飯器に「氷」を入れるのがよい?!

おいしいコシヒカリを手に入れたなら、上手な炊き方も知っておきたいところ。そこで、三上さんにおいしいご飯の炊き方のコツを教えてもらいました。

「米は最初に触れた水をたっぷり吸うので、研ぎ初めの汚れた水はサッと捨ててください。その後2~3回すすいで吸水させます。可能であれば、1~2時間浸漬して、最初の“すすぎ水”と炊飯器へ入れる“炊き水”に、ミネラル豊富で水に旨みがある軟水を使うと一層おいしくなります。

また、同じお米を使っても炊飯開始時の水温で味は大きく変わります。水温は15度くらいまでが理想。夏の水道水は30度近くになるので、冷蔵庫で水を冷やしておくか、炊飯開始の時にお釜に直接少量の氷を入れて水温を下げるとよいですよ」。

さらに三上さんが実践されている“こだわりの炊き方”について尋ねたところ、「少し柔らかめにして、炊き立てのご飯をしゃもじでほぐし、少しの間炊飯器の蓋を開けたままで余分な水分を飛ばしてから食べるのが好き」とのこと。このひと手間を加えることで、口に入れたときの第一印象がまろやかになり、噛めば甘みとモチモチ感を味わえ、最後に喉ごしのよい“柔らかいけれどベトつかない”ご飯に炊きあがるのだそう。

三上さんによると「新米のおいしさもあるけれど、収穫して2~3ヵ月すると米が熟成されて、ますますおいしくなりますよ」とのこと。味の変化も含めて、ぜひ一度お試しくださいね。