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フルーツみたいな甘さ。丹精込めて育てられたねぎの物語。

野菜

今回ご縁があってヤンマー プレミアムマルシェでご紹介させていただくことになったのは、山形県天童市で新規就農し、果物よりも糖度が高い“寅ちゃんねぎ”を育てる清水寅(つよし)さん。自らを“初代葱師”と称し、ねぎ栽培に並々ならぬ情熱を注ぐ清水さんにお話を伺いました。

東京で7社を経営する社長からねぎ農家に転身!

長崎県出身の清水さんは地元で就職し、転勤先の北海道で達成した営業成績日本一の手腕を見込まれ、東京本社へ異動。20代で7つの関連会社の社長を務めた後、妻の故郷である山形県天童市へ移住し、農業経験ゼロから新規就農することに。

「農家へ転身することになったきっかけは、年末年始の集まりでJAに勤める親戚から『農業界を元気づけるために、農家やんないか?』と誘われたから。1年後には妻と共に移住を決め、何もわからないまま農業の道へ進むことにした」と話す清水さん。どの作物がいいかと策を練り、“3年で日本一になる”という目標に一番近づけそうだと算段したねぎ栽培に決めたのだとか。

やっと手に入れた農地は、何年も遊休化し雑草は生え放題。土も固く、作物を栽培できる状態ではなかったそう。そんな状況の中、まず清水さんが行ったのは、ねぎ栽培の先生を探すことでした。会社員時代のダブルのスーツと革靴で畑を巡っていた清水さんが、偶然出会ったねぎ農家の男性が地元で“ねぎの神様”と呼ばれるプロフェッショナルだったという巡りあわせもあり、ねぎの栽培に着手することに。

『本気でやるなら教えてやる』と弟子入りを認められ、葱師(清水さんの造語でねぎ栽培技術者のこと)としてのスタートを切りました。それからというもの、ノートと鉛筆を持って先生の畑に向かい、毎日100個を超える質問をする日々。朝から晩まで作物と向き合って、日々トライ&エラーを繰り返します。

「例えば、畑に雑草が次々と生えてきても、農業の知識が無いから何をしたらいいかが分からない。とにかくアイデアを出し続けて、1年で他の人の10年分くらい試したら、何が良くて何がダメかがわかった」と話す清水さん。

本気でねぎと向き合った結果、見習い期間は1町だったのが、新規就農した1年目に2町7反、2年目には5町4反の栽培面積に拡大。。新規就農2年目にして、ねぎの栽培面積が他業種から農業を初めた新規就農者の日本最短記録を達成。農業をやると決めて山形県へ移住した時に打ち立てた目標を、予定より1年も早く実現したのです。

※1町(1ヘクタール)は3,000坪、1反は300坪の面積に相当。

甘くてジューシー!果物よりも糖度が高い“寅ちゃんねぎ”

清水さんが育てる寅ちゃんねぎの特長は、とにかく太くて肉厚なこと。糖度は19度を超え、2017年には最高糖度21.6度を記録しています。ちなみに、農林水産省が発表しているブドウの糖度は17.5度、バナナは21.0度。寅ちゃんねぎの糖度がいかに高いのか、みなさんもイメージできるのではないでしょうか。

※参考:農林水産省「果樹をめぐる情勢」P3「果実の糖度と酸度」

肥料は天然の素材にこだわり、牡蠣の殻や魚の粉末などを混ぜ合わせたオリジナルのものを使用。光合成が活発に行われるよう葉の面積を広げ、枚数も増やすことで、太く肉厚なねぎが育つそうです。ミシュランの星を持つレストランの料理人がその味を認めたことも評判となり、寅ちゃんねぎは年間5万ケースの出荷量を誇るブランドねぎへと成長しました。

“自分にしか作れないねぎ”から、“誰にでも作れるねぎ”へ

2019年の春、清水さんは“誰でも最高のねぎを育てることができる”家庭菜園用として、寅ちゃんねぎの苗と肥料の開発を進めています。

「自分だけにしか作れないねぎは、ブランドねぎとして育てることができました。ただ、生産できる量には限度があるので、『寅ちゃんねぎが食べたい!』という方全員にお届けできていない。それならば、寅ちゃんねぎの苗を買っていただき、寅ちゃんの最高糖度を超えるねぎを育ててみよう!と、各家庭で挑戦してもらいたい」と、苗事業の準備を新たに進めています。

更には、今回のチャレンジである“誰にでも作れる寅ちゃんねぎ”が実現した次には、再び“誰も作ることができないねぎ”に挑戦したいとの夢も語って頂きました。そのために、ねぎの原産地である中国への視察を計画するなど、清水さんのおいしいねぎを作るための挑戦は果てしなく続きます。

日本の農業を盛り上げたい!

会社員時代に培ったビジネスセンスを活かし、農業界へ次々と面白いアイデアを仕掛ける清水さん。今は、子どもの部活動に“農業”を取り入れ、50年後の農業人口を増やすことを計画中なのだとか。

「僕は、農家の後継ぎは自分の子どもじゃなくてもいいと思っています。わが子に農業を継がせようと親が強制してしまうから、子どもは継ぎたがらない。結果として農業人口はどんどん減っているんです。

例えば、入り口として学校の部活動で農業を体験し、将来農業をやってみたいと思った若者へ、先輩農家が『うちのを使っていいよ』と畑や農具を託す。そうすることで自分の田畑を守ることができ、結果として食料自給率が落ちない。そんな日本になるのが理想です」と話す清水さん。

さらには、「これからの農家は “できる人と組む”べきだと思う」ともお話してくださいました。「今、農家は自分で野菜を売らないとやっていけない時代になっている。若者ならまだしも、今まで野菜作りだけに専念していた農家が、突然営業なんてできるわけがない。だからこそ、農家が料理人や野菜のバイヤーと組むなど、“野菜を売ってくれる人”を見つけることが重要。これが、農家が生きていくためのひとつの成長戦略になることは間違いない」と熱く語ってくださいました。

日本の農業をもっと盛り上げたい清水さん。長年農業分野に深く携わってきたヤンマーも同じ想いを持っています。清水さんの想いを多くの人に伝えたい、また、「寅ちゃんねぎ」を多くの方に体験してもらいたい、という想いから“美味しさ”と“食のワクワク”を追求した「初代葱寅 肉饅頭」が誕生したのです。

ほかほかの肉まんに、ねぎの甘みと旨みをギュッと閉じ込めました

ヤンマーの新食材ライスジュレには、水分を抱え込む性質(保水性)や、水と油を混ぜ合わせて乳化させる働きがあります。この特長を活かし、ねぎの甘みと水分、そして肉汁を逃さず餡(あん)に閉じ込めた「初代葱寅 肉饅頭」が誕生しました。

商品の冠にもある「初代葱寅」は、東京・御茶ノ水にある清水さんプロデュースのラーメン店。こちらでは、寅ちゃんねぎをトッピングした中華蕎麦とともに、蒸したての「初代葱寅 肉饅頭」を提供しています。

せいろで蒸し上げたホカホカのできたてをひと口ほおばると、ライスジュレが閉じ込めた旨みたっぷりの餡がトロリ。この餡は、まさに寅ちゃんねぎが主役!大きくカットしたネギが顔を出し、豚肉の甘みの後に寅ちゃんねぎの風味や甘みが口いっぱいに広がります。さらに、ふかふかの皮にネギのシャキシャキした食感も大きな魅力。

ねぎの青臭さは一切なく、ねぎが苦手なお子さんも「おいしい!」とぱくぱく食べられたり、肉饅頭だけをわざわざ買いに来られる方もいたりするほどの人気商品なんだそうです。

さらに“しお”と“しょうゆ”が揃う中華蕎麦にも、寅ちゃんねぎを使用。スープに浮かせた角切りのネギは熱を加えることで一層に甘みが増し、トッピングされた生の輪切りネギは、しっかりとコクのあるスープに負けないキレと瑞々しさが楽しめます。トロッとしたチャーシューやプリプリの海老ワンタンといった主役級トッピングにも負けない存在感を放つ寅ちゃんねぎは、葱増し(無料)もおすすめです。

中華蕎麦 しょうゆ 特製しょうゆ(1,100円)、初代葱寅 肉饅頭(250円)

店舗情報

初代葱寅 御茶ノ水店
場所:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-3-3 K&T.T駿河台ビル1F
電話:03-6811-0634
営業時間:11:00~14:30(LO)/17:30~22:30(LO)
定休日:日曜日

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